期待値で馬券を買うと儲かるのか?「想定勝率×オッズ」が高いレースほど回収率が低かった話
期待値は「勝つ確率×オッズ」で、1.0を超えれば理論上は買う価値がある。しかしAI予想の実データでは、期待値が高いレースほど回収率が低く、期待値1.5以上の区分は60.7%、0.7未満の区分は91.2%だった。AIの「勝つ確率」の見積もりが、人気薄で甘くなるからである。
期待値とは
馬券の期待値は、次の式で計算する。
期待値 = その馬が勝つ確率 × 単勝オッズ
たとえば勝つ確率が30%でオッズが4.0倍なら、期待値は1.2。100円買い続ければ平均120円戻る計算になる。1.0を超える馬券だけを買えば回収率は100%を超える、というのが「期待値買い」の考え方である。
問題は、「勝つ確率」が誰にも分からないことにある。オッズは市場(馬券を買う人全体)の見立てで、自分の見立てがそれより正しいときだけ、期待値買いは成り立つ。
AI予想で検証した結果
このサイトのAIは、◎に「想定勝率」を付ける。これに予想時点の単勝オッズを掛けた期待値で、レースを4つの区分に分けて成績を集計した。
| 買い方・区分 | レース | 的中率 | 回収率 | 収支 |
|---|---|---|---|---|
| 期待値1.5以上 | 71 | 49.3% | 60.7% | -20,200円 |
| 期待値1.0〜1.5 | 75 | 38.7% | 78.9% | -11,610円 |
| 期待値0.7〜1.0 | 54 | 59.3% | 59.5% | -16,670円 |
| 期待値0.7未満 | 53 | 75.5% | 91.2% | -3,290円 |
◎の単勝だけを買った場合も同じ区分で見る。
| 買い方・区分 | レース | 的中率 | 回収率 | 収支 |
|---|---|---|---|---|
| 期待値1.5以上(◎単勝1点) | 71 | 28.2% | 96.5% | -250円 |
| 期待値1.0〜1.5(◎単勝1点) | 75 | 18.7% | 63.5% | -2,740円 |
| 期待値0.7〜1.0(◎単勝1点) | 54 | 27.8% | 55.7% | -2,390円 |
| 期待値0.7未満(◎単勝1点) | 53 | 45.3% | 80.4% | -1,040円 |
執筆時点(2026年11月3日)の分析では、期待値が高い区分ほど回収率が低い、という逆の結果だった。期待値1.5以上(AIがオッズよりかなり強気)のレースは回収率61%、0.7未満(AIがオッズより弱気)のレースは91%。
なぜ逆になるのか
AIの想定勝率が高く、オッズが高い(人気薄)という組み合わせが「期待値が高い」状態である。この組み合わせが起きるのは、たいてい次のどちらかである。
- 市場が見落としている好走要因をAIが見つけた(本当に妙味がある)
- AIが見落としている不安要因を市場が知っている(AIの過大評価)
実データでは2のほうが多かった。市場には、パドックの気配、調教の動き、厩舎の情報など、AIが読んでいない情報が織り込まれている。AIが「強気」になるレースは、AIに見えない情報が多いレースであることが多い。
これは「オッズは賢い」という競馬の古い教訓と一致する。市場全体の見立てを上回るのは、個人でもAIでも簡単ではない。
それでも期待値を使うなら
- 過剰人気の判定に使う。期待値が低い(AIの見立てよりオッズが低い)馬を◎から外す、という使い方は有効だった。◎が1番人気で期待値が低いレースの成績は、買い方別の回収率の「◎の人気でしぼる」で確認できる
- 自分の勝率の見積もりを疑う。想定勝率が実際の勝率とどれだけ合っているか(較正)を、記録を取って確かめる。このサイトの較正はAI予想は当たるのかのコラムに載せている
- レース数が少ない区分の数字は信じない。高配当1回で区分の回収率は大きく動く
このサイトでの扱い
この結果を受けて、このサイトでは期待値を「買い目を増やす理由」には使わず、「◎の候補から過剰人気の馬を外す」ためだけに使っている。勝負レースの選び方も、期待値順ではなく、的中しやすさ(自信度・◎の人気)順にしている。
馬券は20歳から購入できる。予想は的中や利益を保証するものではない。